“どうやったら良い写真を撮れるようになりますか?”
そういった質問をよくいただきます。写真を撮るうえで最小にして最大のテーマ。今回は良い写真について考えながら、写真を撮るうえでとても大切なことについて書きます。
写真の教本に書いてあること
良い写真を撮るために、例えば構図を勉強したり、光の向きを研究したり色んなアプローチをします。構図を勉強するのであれば、昨今はで書籍だけではなくネット上にもとてもたくさんの情報が転がっているので、代表的な構図を簡単に知ることができます。景色を表現したいときは三分割構図にしましょう。ダイナミックさを伝えるためには対角構図を使いましょう。アオリがでないように水平に気を付けましょう。
誰かの言う良い写真が本当に良い写真なのか
ただその「不特定多数の誰か」とか「権威のある誰」かが提唱する「良い」を自分の「良い」にしちゃっていいの?というのが今回の肝です。ちょっと最近の自分の行いを振り返ってみてください。
あなたは誰かが良いというから、今晩の夕食それにしたんですか?
あなたは誰かが良いというから、そのスポーツをしているんですか?
あなたは誰かが良いというから、今の彼氏彼女や結婚相手を選んだのですか?
あなたは誰かが良いというから、そのミュージシャンの音楽が好きなのですか?
どんなきっかけで知ったにしても、何かを選ぶときは自分が良いと感じるから選んでいませんか?なのにどうして、写真の良さに関しては、誰かのい言う「良い」をそのまま鵜呑みにしようとしているのですか?いいねがたくさん貰えるから?だとしたらそんなの意味なくなりますよ?
Instagramはいいね廃止を考えている
写真と切っても切れない関係にあるSNSがInstagramです。良い写真を撮りたくなるモチベーションになっている人も多いかと思います。そんなInstagramですが、あるエンジニアの方の発見によると、Instagramはいいねの廃止を考えているそうです。もちろん廃止が確定しているわけではありません。また、廃止といっても完全になくなるわけではなく、いいねを押しても押された本人にしかいいねの数が分からない仕様になるという形です。
Instagramを自己受容感を満たすための道具にている一部の寂しい人たちは絶望するかもしれませんが、いいね数を見えなくするのは英断です。いいね数が分かると、集団心理によりいいねが集まる写真=良い写真だという思い込みが生まれます。この結果、現在のInstagramは、似た様な構図や色味の写真で溢れかえっています。いいねの数を気にしながらテンプレートに沿った無益な争いが繰り広げられています。
Instagramもこの状態をSNSとして面白いと思っていないのでしょう。そこで他人からはいいねの数を見えなくしてしまおう、ということです。いいねの数が見えなくなれば(=人に見せびらかすことができなくなれば)ば、この争いもかなり少なくなるでしょう。「こういう写真がいいねをもらえるから真似しよう」といった発想はどんどん淘汰されていきますね。
良い写真を撮るために必要な唯一のコト
良い写真を撮るための唯一の方法は、あなた自信が良いと思うものを見つけることです。良いと思う被写体、構図、光の様子、距離感、風、どんな要素だっていい。それを見つけること、それだけです。そして見つけたらそれをひたすら掘り下げることです。他の誰かに響かなくてもいいんです。いいねがつかなくていいんです。ハッキリ言って自己受容感のための写真なんか撮ってても何もおもしろくはありません。
ただし基礎は大切
「自分の良いを知れば良い」と言っても、それは「何も勉強しなくていい、何にも声を傾けなくて良い」という意味ではありません。何事も基礎は大切です。極端な話、シャッターを押すと写真が撮れることを知らなければ写真は撮れないのですから、カメラを道具として使いこなせるように、たくさん使うこと、オートモードだけじゃなくて、マニュアルも使いながら、仕組みを理解することは大切です。
道具の使い方や構図など、撮影に関する様々ことをしっかりと勉強した方がいいことは間違いありません。ただし、そんなに人の目ばかり気にしなくて良い、構図を知っている上で、型からはみ出したことをしたって自分に響くならいいんです。
真似できる良さなんてAIがすぐ造るようになる
理論だけで決められる、真似できるような良さに囚われていたら、あなたの感性は成長しません。それどころかすぐにAIに追い越されてしまいます。ここは断言します。理論が定められていることは人より機械の方が得意です。僕はプログラマーでもありますが、AIの進化のスピードは本当に目を見張るものがあります。
そう遠くない将来、AIは写真を撮る(というより、造ってしまう)ようになるでしょう。例えばです、「一面のススキ畑にワンピースを着た長い細身の女性が立っていて、後ろから夕日が差し込んでいる」というシチュエーションを設定したら、それを今「良い」言われている理論に基づいて組み立てて、写真と区別がつかない画像を作り上げてくれるようになります。
AIが作る写真の例ですが、この中に1枚だけAIが作り出した犬がいます。どれだかわかりますか? ※答えは本ページ最下部
室外機は美しい?
もう15年くらい前ですが、テレビで室外機の写真ばかり撮っている男の子が紹介されていました。あるときは規則的に、またあるときは不規則に、ビルの壁や家屋に設置された室外機を只管に撮り続けていました。何が彼をそうさせるのか問われると、「うまくは説明できないけれど惹かれるものがあるから」と答えていました。会場にいた殆どの人には理解できず、時には笑いが起こっていました。ただ僕は「良さ」の本質とはこういうところにあると思います。共感を得るものではない。相対的なことでもない。ただただ絶対的なことです。
ピカソの絵って下手?上手??
鏡の前の女
ピカソという人はとっても絵が上手です。でも時々、上手いのか下手なのかよく分からないイタズラ書きのようにも見えたりもしますよね。それでも彼がアーティストとして今尚抜群の存在感を放っているのは、自分が描きたいと思う作風、自分の信じる良さについてブレなかったから。その1点に尽きると思います。もしもピカソが現代に生まれいいねを意識した絵を投稿し続けていたら、全く有名にはならなかったかもしれません。
10,000件のいいねより、1件のマイいいね
Instagramでは自分の投稿にいいねを推せますよね?自分で押すのはずかしいですか?僕は毎回押しています。自分が世の中に送り出す写真を最初に良いと思うのは、自分だからです。そして写真を撮っているみなさんにどんどんこのマイいいねを推奨しています!!
自分の感じる良さに自信を持つけること。それが、良い写真を撮れるようになる方法です。
知らない誰かに惑わされずに、とことん自分と向き合って、心の底からいいねを推せる写真を撮ってください!!!
※一番左上の犬がAIが作り上げた犬です。見抜けましたか?