今回はレンズを傷から守るレンズ保護フィルター(プロテクター)のお話です。
新品のレンズを買った方の多くがこのレンズ保護フィルターを使っているのではないでしょうか?一方で、保護フィルターをつけて写真を撮ると画質の劣化があるという話もよく聞くかと思います。
付ける派つけない派いろいろあると思いますが、ここではレンズ有無の比較画像なんかを見ながら、保護フィルターの必要性について考えていきましょう。
まず結論から言うと(結論といっても僕がどうしているか、いちカメラマンとしての考えですが)、落下保証などに入っていないレンズで、修理(新品再購入)代金が10万円以上のものについては着ける、それ以外は着けないです。
画質への影響
保護フィルターを付けると画質が下がる?
これは保護フィルターのクオリティによって結構変わってきます。コーティング性能や反射性能について記載されていない物は買ってはいけません。
ガラスは一見透明に見えますが、光が100%通過している訳ではありません。ガラスを1枚通るたびに光は少しずつ反射してしまいます。ですので、光の透過を極力妨げない方がいいのです。
保護フィルターの仕様に「反射0.5%以下」とか「反射0.3%以下」という記載があると思いますが、こういった数値が低いものを選んだ方がよりクリアな画質になります。(ただしクリアになればなるほど値段も高くなります。)
少し話は変わりますが、一眼レフの交換レンズはエントリー向けの2〜3万円くらいのものから、高いものでは20〜30万円以上の価格にもなってきます。何がそんなに違うのかというと、基本的にはガラスの性能です。それだけガラスの構造や研磨の仕方、コーティングは画質に影響を与える要素なのです。
そして、それだけ洗練されたガラスが連続しているところに、保護フィルターというガラスを更に一枚足すのですから、保護フィルター選びは慎重になっていいポイントだと思います。
たまに「保護フィルターの画質劣化は気にならないレベルだから着けた方が(買った方が)良い」というブロガーさんなんかもいらっしゃいますが、個人的には少し違うかな、と思っています。ブログというツールはどうしても断言する事と商品紹介する事が軸になってくるので、特性上仕方ないとは思いますが。
少しでも綺麗な写真を撮りたいから、少しでもいいレンズを求めるのがカメラマンの性です。だから「保護フィルターの画質劣化は気にならない」と言ってしまうのは、「安いレンズも高いレンズも変わらない」と言っているように聞こえてしまいます。
画質比較
案ずるより生むが易し。ということで比較画像です。下記画像はフィルターの有無以外全く同条件で撮影した画像の比較です。奥のオフィスビルの窓にピントを合わせています。2,400万画素を中心部でトリミング、更にピントを合わせた箇所にズームしています。もともと表示されている左半分が保護フィルター無し、右半分が保護フィルター有りの画像です。モアレ出ちゃってますが今回はとりあえず気にせずに。
保護フィルター無し◀︎ ▶︎保護フィルター有り
もう少し寄ってみます。
保護フィルター無し◀︎ ▶︎保護フィルター有り
どうでしょう?全然変わらない!という声が聞こえてきそうです(笑)いいんです!!こちらの比較では使用レンズ、保護フィルター共にクオリティの高いものを選んでいます。劣化はほぼ無いに等しいレベルです。
何が言いたいかというと、少しでも綺麗さを追求する中でレンズフィルター着けるのだから、これくらい吟味したやつを着けるよ。ってことです。これは保護フィルターを着けるバージョンの例です。
使用レンズ SEL135F18GM
設定 f6.8 1/400 135mm ISO100
保護フィルター Kenko ZXシリーズ
ではもう一つ、レンズとフィルターのレベルを少し下げたものの比較を見てみましょう。
保護フィルター無し◀︎ ▶︎保護フィルター有り
これもかなり中心部をトリミングしていますが、先ほどのレンズよりは広角なので少しだけ引きです。こちらはなんとなく違いがわかるのではないでしょうか?窓の縁の太さなんかがフィルターを着けていない方がスッキリしていますね。
ビル上部のフェンスの目の細かさも違った印象で解像されており、よく見ると縦線の入り方が無しの方が細かいですね。こっちは保護フィルターを着けないバージョンの例です。普段はこのレンズは保護フィルターを着けずに使っています。
使用レンズ SEL85F18
設定 f6.3 1/320 85mm ISO100
保護フィルター Kenko Pro 1D NEO
ところで話は脱線しますが、焦点距離は違うにしても135GMの解像感は恐ろしいですね。
ゴーストやフレア
一つ注意として、保護フィルターを着けていると逆光での撮影などでゴーストやフレアといった予期せぬ光の反射が写ってしまう事があります。この場合は、その時だけ一時的に保護フィルターを外して撮影しましょう。また、ゴーストやフレアが必ずしも悪いものということではないので、その雰囲気が良いのであればそれ自体を作品として取り入れるもの有りかと思います。
レンズ保護性能
カメラを落とした時に守ってくれるか
これはすごく微妙なところです。落とした当たりどころが悪ければ保護フィルターを着けていててもレンズ本体は割れますし、運が良ければ着けていなくても無傷です。
断言できるのは、「保護性能」という意味では保護フィルターよりもレンズフードを常時つけておく方が確度は高いです。ただ、山岳写真や岩場など、落としはしなくても擦れてしまう場面が多くありそうな方は、保護フィルターを付けた方が無難です。
ちなみに知り合いのカメラマンで、フレアが出るため保護フィルターを外そうとしたところ、カメラをお落としてしまいレンズをダメにした方がいました(笑)これは保護フィルターをつけていたためにレンズをダメにした残念な例ですが、こんなことって実は結構あります。
何事に於いても共通ですが、行動の工程を整理し減らすようにするのがエラーを減らす最良の方法です。
着けるレンズと着けないレンズ
冒頭でお伝えしましたが、僕は10万円以上のものについては着ける、それ以外は着けないとしています。これには理由が2点あります。1点目は想像しやすいかと思いますが、壊した時のショックです。
10万円以下ならドンマイって思えるからです(笑)ここらへんはそれぞれの経済状況によっても変わってくるかと思います。
2点目の理由は先の話しと重複してきますが、画質です。安いレンズは高いレンズに比べるとどうしてもガラスのクオリティが下がります。もちろんレンズにより色々ありますが、解像感やコントラストなどは高級レンズには敵いません。
なので、少しでも透過率を下げたくないのです。安いレンズほど画質は悪いのだから、更に画質が落ちることはしたくない。だから保護フィルターを着けない、ということです。
オススメの保護フィルター
最後に、実際自分の使っている保護フィルターを紹介しています。Kenkoオンリーです。この会社のフィルターへの力の入れ具合がすごいからです。
Kenko PRO1 D Loutusシリーズ
6,000円くらい。中の上です。フィルター着けるならこのレベルから。各社同じくらいのランクの保護フィルターを出していますが、このランク未満の物は着けなくていいと思ってます。
Kenko ZXシリーズ
上物。ゼクロスって読みます。厨二くさいですね、大好きです(笑)基本はPro1 Digitalシリーズと近いのですが、構造上ガラスがPro1 Digitalよりも歪みにくくなっているので、より平面を保つことができます。なお、Kenkoにはこれより高価なZeta Quintというシリーズもあるのですが、最上位グレードはZXシリーズのようです(笑)
おまけ(レンズ拭き)
保護フィルターの比較を行う際に、レンズと保護フィルターを綺麗にしています。普段使っているレンズ拭きを紹介します。
小包装&ウェットタイプのクリーニングペーパー
小包装でウェットタイプなので乾拭きで落ちない汚れも落とすことができます。なお小包装の袋が”とある小包装のモノ”に似てるんで、たまに誤解されます。いつもバッグに3〜4個忍ばせています(笑)
乾拭きタイプ、不織布のクリーニングペーパー
こちらは乾拭きタイプです。ウェットで拭いただけだと跡が残りやすいので乾拭きもします。三菱レイヨン製のフィルターが使われています。レイヨンはこういった繊維製品の製造の定評があるので愛用しています。