プロカメラマンや、プロを目指す方がこれから買うバソコンについて、おすすめを紹介します。Windowsのパソコンにもたくさんおすすめ商品はあるのですが、今回はMacBook編です。
まずせっかちな方のために結論から言うと、Macbook Air M1 512GBが最もハイコストパフォーマンスでおすすめなモデルです。以下にその理由を説明していきます。
WindowsよりもMacがカメラマンにおすすめな理由
まず最初にWindowsのパソコンと比べて、Macはなぜおすすめかという点から説明していきます。
トラックパッドの操作感がピカイチ
この点は現在もApple製品はピカイチです。AndroidとiPhoneを比べた時に感じると思いますが、iPhoneはAndroidに比べて自然にヌルヌルと動きますよね。最近はAndroidも非常に改善されてきたが、それでもまだApple製品に少し届かない印象です。
Appleはソフトとハードを自社で作っているので、このあたりの調整がピカイチです。
写真のレタッチは繊細な作業を長時間行うものになってくるので、直感通りに動いてくれる操作感は非常に大きな強みです。
洗練されたMacBookのデザイン
フォトグラファーになる以上、自身が美しいと感じる物をよりたくさん見ることも大切です。Apple製品の洗練されたデザインを見ることによって、自身の感性も研ぎ澄まされる、ということもMacbookを理由になり得ます。
ただし、単にかっこいいから、デザイナーっぽいから、では宝の持ち腐れです。なぜかっこいいのか、なぜデザイナーっぽいのかを掘り下げて、自身に還元することを意識しましょう。
フォトグラファーをフォトグラファーたらしめるものは、かっこよさ、かわいさ、素敵さといった要素が何処にあるか(何であるか)を見極める力です。「写真は引き算」と言われるように、フォトグラファーには必要な要素だけにフォーカスする力が求められます。
「Macbookのデザインが好き」という人は五万といます。その「好き」を自身の言葉で明瞭に説明できるよう掘り下げることにデザインを選ぶ価値があるでしょう。
ディスプレイが綺麗
この点は今となってはそこまでの強みではありません。5年くらい前はMacBookシリーズのRetinaディスプレイは確かに優れていました。ただ、最近ではディスプレイだけに注目するとMacBookよりも綺麗なディスプレイを搭載しているパソコンは存在しますし、本気で仕事をするならプロ向けの外部ディスプレイの方が優れています。
MacBookシリーズを選んでおけば少なくとも間違うことない、くらいに考えると良いでしょう。
プロ向けディスプレイ参考商品
M1チップの圧倒的コストパフォーマンス
目には見えない違いないので、あまりパソコンに詳しく無い人は見落としやすいかもしれませんが、実はここがMacBookを選ぶ最も大きな強みです。本記事の中でも重要度が高いので詳細を後述します。
安価なM1チップの方が高性能
あまりパソコンに詳しくない人にもわかりやすいように、M1(チップ)とは何なのか、それがどうすごいのかについて説明します。
パソコンのパーツのひとつにCPUというパーツがあります。人間にすると頭脳にあたる部分です。CPUは人間の脳と同じように、外からは見ることはできないけれど非常に大切なパーツです。
計算が速いとか、考えるのが得意、といった頭がいい人の特徴と同じように、CPUが優れていると、そのパソコンも優れた物になります。パソコン選びをするとき、ついつい見た目に目が行きがちですが、本当に大切なのはCPU選びといっても過言ではありません。
人を選ぶ時も、最初は見た目の印象で惹かれやすいですが、長く付き合っていくと中身が大切なことに気づいたりしますよね。
普通は「インテル、入ってる」
世の中のほとんどのパソコンにはインテルという会社が作ったCPUが使われています。Appleも例に漏れずインテルのCPUをずっと使っていました。しかし、2020年に発売したMacbook Airから、独自開発のCPUに切り替えました。それがM1です。
ほとんどのパソコンにはインテルのCPUが入っています。逆に考えると、インテルのCPUはどんなパソコンでも使えるように、汎用性の高い作りになっているといます。一方、新しいMacBookに搭載されたM1というCPUは、Apple製品にしか使えません。
オーダーメイドの服のように
自分のために自分でスーツを作ったとします。自分が着ればピッタリですが、友達に着せようと思ったらピッタリにはなりませんよね。自分のにだけピッタリになる。これがM1です。
一方、ユ○クロのMサイズのスーツはそれなりに誰でも着ることができますよね。こちらはインテルのCPUです。
自分で手作りの服を作る場合、作るための知識や機材の準備をしっかりと行う必要がありますが、その準備をすることができれば低コストで作ることができますね。
M1はハイコストパフォーマンス
手作りで自分の服を作るのと同じように、M1というCPUはアップルが自社製品のためだけに作ったパーツなので、製造コストを抑えつつ機能を最大限に引き出すことができます。
『安くて高性能』という、一見両立が難しいことを両立させてしまったCPU、それがM1なのです。
なぜ他社はCPUを自社製にしないの?
安くて高性能にできるならパソコンメーカーは皆自社でCPUを作った方がいいと思いますよね。しかし、自社でCPUを作るためには莫大な設備や研究者が必要になります。Appleという特別に大きな企業だからこそ自社でCPUを作ることができるのです。
写真編集に必要なスペックは全てのMacBookが満たしている
写真を仕事にする人にとっての必須ソフトというと、やはりAdobe社のLightroomとPhotoShopでしょう。
これらのソフトが正常に動作する要件ですが、2021年に新品販売されているMacBookシリーズは全てクリアしています。
従って、最新のMacBookを選ぶ場合、どの製品を選んでもスペック不足になることはありません。ただし、複数アプリを立ち上げて編集を行っているとMacbookがもたついてきたり、写真ファイルが増えすぎてストレージが無くなってくることはあるので、その点を踏まえたおすすめのスペックを紹介します。
メモリとCPUとストレージの関係性
まず最初にパソコンのスペックを決める3つの要素について、コックさんに例えてみます。
まな板の上でコックさんが野菜を切って、それを冷蔵庫にしまう。という一連の流れがあるとします。
この場合、まな板の大きさがメモリ、コックさんの腕の良さがCPU、冷蔵庫の大きさがストレージです。
例えば、まな板がとっても大きくても、コックさんの腕が悪いと、なかなか野菜は増えませんよね。また、コックさんがどれだけスゴ腕だとしても、まな板や冷蔵庫が小さかったりしても、やはりカット野菜をたくさん作ることはできません。
まな板・コックさん・冷蔵庫の3つをバランスよく選ぶことで、たくさんのカット野菜を作ることがでこきる(=たくさんの処理ができる)のです。
メモリは8GB以上がおすすめ
メモリは先の例でいうとまな板の大きさです。これは実際のパソコン作業では、複数のアプリを同時に立ち上げる時に必要になります。大きなまな板なら、キャベツを切りながら隅っこでトマトやニンジンを切ることもできますよね。
MacBookを選ぶと、メモリは8GBか16GBで選ぶことになるでしょう。フォトグラファーが主に使うアプリをLightroomとPhotoShopと想定すると、8GBでも全く問題ありません。
ただ、写真を仕事にしていくと、だんだんと同時に使用するアプリも増えていく機会も増えます。
例えば、写真のレタッチをしながら、音楽を再生し、お客さんとチャットをしたり、Zoom会議をする、といった具合です。こういったことを想定すると、16GBのメモリがあったほうが余裕はあるでしょう。
実際、そういったことを想定して、僕自身は現在16GBのメモリを搭載したMacBook Proをメインとして使っています。
ストレージは512GB以上がおすすめ
ストレージは冷蔵庫、パソコンの容量です。こちらはわかりやすいですね。iPhoneをお使いの方は写真を撮り過ぎやアプリの入れ過ぎで容量がいっぱいになってしまったことがある人もあると思います。
写真を撮っているとメモリーカードを使います。32〜128GBのメモリーカードを使うことが多いと思います。64GBのメモリーカードで数えると8枚分の写真を保管できる容量が512GBです。
もちろん仕事で使用する場合、全ての写真をパソコンに保存したなら、2TBであってもすぐにいっぱいになってしまうでしょう。写真データの保管自体はクラウドサービスや外付けのハードディスクに移すのが基本です。パソコンの容量は、編集するにあたり一時的にデータを置いておくための容量で考えます。
ストレージのうち何GBかはOSやアプリが使用するので、もし512GBを選んでも512GB全て写真のためだけに使うことができるわけではありません。その点も考慮すると、256GBでは仕事で使うには小さ過ぎます。
フォトグラファーを仕事にしていくことを考えている場合は、最低512GB以上の物を選びましょう。
参考:写真データのバックアップ方法についての関連記事を貼っておきます。
MacBook Air vs MacBook Pro
MacBookシリーズにはAirとProの2種類のラインナップがあります。Proはプロフェッショナル向けモデルなので、プロのカメラマンとなるのであればProの方が良さそうに思うかもしれません。しかし、現在販売されているMacBookは、AirにもProにもM1という高性能なCPUが搭載されています。
AirとProを数値で比較
ベンチマークというドラゴンボールでいう戦闘力のような数値があります。同じM1が使われているMacBook AirとMacBook Proは下記の通りほぼ互角です。
製品名 | MacBook Air | MacBook Pro |
---|---|---|
CPU | M1 | M1 |
ベンチマーク | 7220 | 7602 |
私の戦闘力は、7200です。
AirとProを値段で比較
CPUの性能が同じなので、その他パソコンのスペックに影響があるメモリとストレージの性能を揃えてしまえば、MacBook AirもMacBook Proも同性能となってきます。
僕のおすすめする『CPUはM1、ストレージは512GB、メモリは8GB』のMacBookを選んだ場合、下記のような価格差になってきます。
MacBook Air(13インチ) | MacBook Pro(13インチ) | |
---|---|---|
画面の大きさ | 13インチ | |
発売年月 | 2020年11月 | |
価格(税込) | 142,780円 | 170,280円 |
差額は約3万円です。この差が何かというと、MacBook Proのほうが動画編集に使用するGPUというパーツの性能や、放熱性能が優れています。
しかし、写真のプロが使うパソコンで考えるなら、このMacBook Proの持つ強みはそれほど大きな恩恵にはなりません。特にM1は処理性能に優れており、画像編集くらいであれば熱をほとんど発することがありません。
3万円のおすすめの使い道
もちろん、資金が潤沢にあり3万円くらい気にならないのであれば、MacBook Proを選んでも良いでしょう。しかし、仮に170,280円を使うことができるのなら、僕ならMacBook Air+カメラ用の機材を購入します。フィルターやプロテクターの類も良いですし、オールドレンズでもいいでしょう。
パソコンをどれだけ良くしたところで撮れる写真は変わらないので、必須スペックをクリアしているなら、それ以外の資金は撮影機材や勉強に欠ける。そういった考え方の方が写真は上達するでしょう。
iPad Pro 2021年モデルとの比較(2021.4.25追記)
Appleから新しいiPad Proが発表されました。MacBook AirやProと同じM1チップ搭載、メモリも8-16GB搭載と、もうほぼパソコンというスペックで新しい選択肢となる予感。そんなiPad Pro 2021モデルがカメラマンにとって買いとなるのか検証してみましょう。
MacBook AirとiPad Pro 2021 長所短所
13インチのMacBookとの比較対象としてちょうど良い、iPad Pro 12.9インチモデルで検証しています。
製品名 | MacBook Air | iPad Pro 2021 |
---|---|---|
CPU | M1 | M1 |
仕様 | 512GB/8GBメモリ | 512GB/8GBメモリ |
長所 | 拡張性が高く出来る事が多い プロ使用のアプリが動く ファイルやフォルダ操作性 |
ペンタブを使った細かい操作 ミニLEDで黒が綺麗 Cellularモデル有り 直感的な操作 カメラが綺麗 LiDAR搭載 |
短所 | ペンタブ操作では劣る カメラは並 |
アプリがMacOSに劣る ファイルやフォルダ操作不向き 値段割高 Apple Pencilなどが高い |
重さ | 1.29 kg | 684 g (Magic Keyboard込み1.38kg) |
値段 | 142,780円 | 165,800円 (全セット223,330円) |
iPad Proは出費のかかる子
iPad Proは単体としても素晴らしいデバイスですが、MacBookと比較するにあたって、iPad Pro本来の強みを引き出すためのApple Pencilや、事務作業など行うためのMagic Keyboardもセットで比較すべきでしょう。とすると、iPad ProはMacBook Airに比べて、80,550円も高くなってきます。
この価格差だけのメリットがあると良いのですが、現在のところフォトグラファーがiPad Proを選ぶ突出した強みは、ペンタブ操作による直感的なレタッチ作業が行える点のみでしょう。
MacBook Air & iPad Airの方がお得
iPad Proのフォトグラファーにとっての強みがペンタブ機能と割り切るのであれば、敢えてiPad Proを購入する必要はありません。2020年に刷新されたiPad Airが非常にコストパフォーマンスの良い出来に仕上がっているからです。
iPad Pro 2021の全部セットが223,330円であるのに対し、MacBook Air + iPad Air + Apple Pencilが、227,810円と、ぼぼ同価格です。
iPad AirはMacBook Airのサブディスプレイとして使うこともできますし、もしMacBook Airにトラブルが起きた場合の一時的な代役としても活躍することができます。
確かに新型のiPad Proはかっこいいし欲しくなる製品ですが、実務と保険の立場から物事を考えるのがプロの仕事です。iPad Proを検討中の方はまだMacBook Airを持っていないのであればそちらから購入することをおすすめします。
【結論】プロ(を目指す)カメラマンにおすすめのMacBook
僕が今使っているMacBook Proを買った時にはM1搭載のMacBookがまだ発売されていなかったので、高性能=Proという選択肢でしたが、M1搭載しているMacBook Airは安くて高性能なまさにいいとこ取りのMacBookに仕上がっています。
プロカメラマン、またはプロカメラマンを目指してMacBookを購入する方に、自信を持ってMacBook Airをおすすめします。
MacBook Air 2020
ずばり、本命はコチラ。コストパフォーマンス抜群のMacBook Airです。
MacBook Pro 2020
どうしてもProがいいよ、という方はこちらも。MacBook Proと比較すして地味に便利なのは、充電を兼ねたUSB-Cポートが左右にあること、また合計4つあることです。
絶対必須のアクセサリー
MacBook Air・MacBook Proの共通の弱点ですが、SDカード読み込みスロットがありません。SDカードリーダーが必須になるので、MacBookシリーズを購入する方はこちらもお忘れなく。
iPad Air 2020
iPad Pro 2021モデルを買いたいと思った人。ちょっと待って!本当にそれ必要?
iPad Airをご購入の方はこちらも必須でしょう。